立ち止まることも大切
日本では、あれからもう一年が過ぎました…と安易に口に出せない解決されない毎日が今も続いていると思います。
昨年の3月11日はピュアウッドハウスの成城での建て方初日でした。吊り上げられた重いピュアウッドパネルの揺れを抑えながら彼方に高層ビルが驚くほど湾曲するのが見えました。建て方はその後もゆっくりと続けました。そして30分の道のりを6時間かけて新宿の店へ戻りました。
それからの数日間はとても心が忙しい日々でした。オーストリア、ドイツの友人、知人から日本ではおよそ流布されていない事実や情報がどんどん入って来ました。おそろしいことに真実は一部の人だけが知っているという状況が作られ人々の反応には驚くほどの格差がありました。
私が19歳の時オーストリアではとても重要な国民投票がありました。そしてその時からオーストリアは原発NOの道を選択したのです。アルプスからの水を使って水力発電を行い電気が不足することは今もってありません。当時も今もあの決断は正しかったと思います。
家族を日本から離れさせ、従業員に休みをだし皆が自分の考えで安心を選択できるようにしました。私も東京から離れて西へ向かいました。私の行動については日本政府の発表を鵜呑みにしたいわれのない外国人批判も受けましたが、賛同し一緒に退避下さるお客様もありました。日ごろから考え折につれ話続けていた自分の価値観を守り貫くことで非常に難しい立場に立たされました。
あれからまた経済も、、復興も世の中の何もかもがただがむしゃらに邁進しているように感じます。しかし少し足を止めて今までのこと、自分たちの選択をゆっくり考えてみることが大切ではないでしょうか。
考えてください、朝飲むいっぱいのお茶も、何気ない行動もすべては経済活動として社会とつながらざるをえない大きな流れの中で私たちは暮らしています。
昔のような小さな社会で完結する生活はひとつもなくなってしましました。すべての事柄の歴史や流れへの理解が必要です。
食事をするときは何処で誰が作った素材なのかをを想像しましょう、着ている服の生産国を知りましょう、私たちのすべての選択と行動がこの社会を作っていることを肝に命じましょう。考えて選択することでしか社会の流れを変えていくことはできないと私は思います。
2012年3月
ティームセブンジャパン 代表 マテー ペーター
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